今回はMcGEORGE(マックジョージ)徹底解剖企画。当店はショールカラーカーディガンの“一着入魂”なので、ブランド紹介と商品紹介を併せてお送りします。
ブランドの歴史
その名が示す通りスコットランド南部、イングランドとの国境地帯に位置するスコティッシュ・ボーダーズ州。ニットウェア業界の本拠地として栄えたこの地域で、不遇の時代を乗り越えて伝統的手法を継承し、今なお名品と言われるニットを作り続けているブランドがマックジョージ(オブスコットランド)です。
数年前に州内のウォーカーバーンという村の古い工場を買収、経営スタイルもややリニューアルして製造を行っています。
創業は1881年(明治14年)。人気コミック「ゴールデンカムイ」でアシㇼパの父ウイルクがロシア皇帝暗殺を企てますが、その元ネタになった実際の暗殺事件があったのがこの1881年という年。今年で創業から142年という老舗中の老舗です。
工場生産を成功に導いた秘訣が、当時としては革新的で珍しい試みの“女性の雇用”だったという所も興味深い逸話。女性に木製織機の使用を許可することで、今まで不可能だった問題をクリアさせ、その結果一つの家族に2つの収入源を持たせることにさせたのだそう。何が「不可能だった問題」なのかは分かりませんが、女性の社会進出や共働き世帯の先駆けともいえる雇用スタイルは、創業者のMcGEORGE氏の革命的精神の表れだったのではないでしょうか。
貴重な天然繊維や最高級糸を使用する、スコットランド高品質ニットウェアの究極表現者がこのマックジョージ。ホームページ上で自らのスタイルを「前衛的現代ニットウェア(the avant-garde of contemporary knitwear)」と謳っています。
名作映画との関係
往年の名作映画内でタイアップ的に有名俳優達が着用しているというのはマックジョージの有名なエピソード。創業から約80年が経過した1960年代、世界で最も有名なスコットランドのブランドにまで成長を果たし、ブランドの全盛期はしばらく続きました。
『グレース・ケリーは地中海で自分の船に腰掛け、キャットアイフレームのサングラスをかけて背後にあるモナコのパノラマの景色を眺めながら、McGEORGEのアイコンであるフィッシャーマンケーブルニットセーターを着ていました。』
『映画の中で最もMcGEORGEがインパクトを持って使われたのは、ヌーベルバーグ映画の最高傑作であるジャン=リュック・ゴダールの1960年の「勝手にしやがれ」です。主人公であるジーン・セバーグは、自由奔放な恋人ジャン=ポール・ベルモンドをどうしようかと考えながら、無邪気に、そしてコケティッシュにMcGEORGEのセーターを劇中で着用しています。』
ブランド紹介資料「McGEORGE OF SCOTTLAND:KNITTING BACK THE SCOTTISH YARN CLAN(マックジョージオブスコットランドの歩み):Freddie Andersson著」より
“The King of Cool”と呼ばれたスティーブ・マックイーンもこのブランドの代名詞的存在。しかし007役でおなじみのピアース・ブロスナン主演でリメイクもされた「華麗なる賭け(Thomas Crown Affair)」では少し趣きが異なるようです。
『共演者のフェイ・ダナウェイと一緒に描かれたケーブルニットセーターは全体的に伝統的なロープ織りが施されています。彼のトレードマークであるPersolのサングラスと合わせて葉巻を吸っているシーンでは、このニットウェアがかっこいいとは言い難いですが“味”があるのです。』
ブランド紹介資料「McGEORGE OF SCOTTLAND:KNITTING BACK THE SCOTTISH YARN CLAN(マックジョージオブスコットランドの歩み):Freddie Andersson著」より
近代映画ではこれまたジェームス・ボンド役を務めたダニエル・クレイグ主演の「ドラゴンタトゥーの女(2011年公開)」で話題を振りまきます。彼はタイアップというよりも自身の好みでマックジョージのニットを着用して劇中に登場。007でのパリッとしたスーツ姿から一転、ショールカラーカーディガンをサラリと着こなす姿が印象的。まあ彼なら何を着ても似合うのは間違いないですが、マックジョージが再注目されるきっかけともなった作品です。
ショールカラーカーディガンのご紹介
当店にはそんなダニエル・クレイグも愛用したショールカラーカーディガンが入荷中。マックジョージの魅力がたっぷり詰まったこの商品をご紹介します。
商品概要
カシミヤ10%混の高品質ウール素材を惜しげもなく使用し、ケーブル編みでざっくりとボリューミーに仕上げられています。想像以上に柔らかくしなやかな生地の感触にきっと驚かれることと思います。
カラーはグレージュ。グレー系とベージュ系の糸を織り込んだ、遠目にはライトグレーっぽくも見えるカラーです。カラーパレットが非常に豊富なため、似たような色味のものも販売されているかもしれませんが、当店の商品は色番が「1405」になります。
ダッフルコートに水牛ボタンがつきものであるように、こちらには革巻きボタンを装備。『本物』を感じさせるディテールです。
一般的な(薄手の)カーディガンと違いショールカラーとなっていることで、襟とラペルが存在するジャケットに近い見た目となり、適度なリラックス感とキチンとした雰囲気が上手くミックスされた絶妙な大人テイストを実現。コンパクトなシルエットと生地の高級感が、ローゲージのケーブルニットという少し野暮ったいイメージを払拭してくれます。
スタンドカラーニットブルゾンやニットジャケット等、羽織り系のニットアイテムが好評を得ていますが、こちらはトレンドやブームとは無縁の孤高の英国ニットウェアです。
着用感・サイズ感
私の体型ですと44がややタイト目のジャスト。46だと少しゆとりがあるフィッティングになります。着丈的には46がベストかもしれませんが、どちらを選んでも間違いなさそうなのが流石の仕上がり。
ラグランスリーブ採用でコンパクトなシルエットでも肩回りの窮屈感は皆無。サイズアップで選ばれてもだらしない見た目にならないよう設計されています。
そしてとにかく暖かい。ウールカシミヤのローゲージニットの底力を思い知らされます。ヒートテック等のインナーを組み合わせれば、雪でも降らない限りアウターなしで大丈夫な方もいらっしゃると思われます。
コーディネート
定番のシャツ(&ネクタイ)と、シンプルにカットソーと、ニットオンニットでアンサンブル風にと、「一枚ではちょっと…」「ガッツリしたアウターまでは必要ない」そんな時にとにかく重宝する魔法の一枚。やりすぎないラグジュアリーテイストと程よいカジュアル感が大人コーデを引き締めてくれます。
同じような言い回しばかりで恐縮ですが『カーディガン以上、アウター未満。』なところがやはり秀逸なポイント。カーディガンの様な羽織りとしてもアウター的にも使えるため、長い期間活躍してくれること間違いなし。この上に何か着るのは推奨されないかもしれませんが、オーバーサイズのコートあたりなら可能かも。
そして、展示会でも提案されていたサイズアップでの禁断の「オンジャケット」コーデがこちら
・・・。雰囲気だけでもお伝えできれば幸いです。メーカーの方はもっと洒脱に着こなしてらっしゃって「おお!」となりましたことを付け加えておきます。
CHIOTOとの比較(サイズ44)
あくまで参考までとしますが、これまた名品のZANONEのCHIOTOの似た色・同サイズ表記の物を持っていましたので、ちょっと比較してみましょう(サイズは共に44)。
同じサイズでもCHIOTOの方がタイトフィット。袖丈はCHIOTOの方がやや長めで、着丈はほぼ同じです。ボタンを留めた状態ですと、ラグランスリーブのマックジョージの方が肩回りが楽で全体的なシルエットがきれいになるように感じます。ダウンやコートのインナーとしての使い勝手も考慮されたCHIOTOとはフィッティングにも違いがあるようです。シンプルですっきりした見た目のCHIOTOとは異なり、革巻きボタンやポケットが良い意味で主張し、独特の存在感を漂わせるマックジョージです。
McGEORGE(マックジョージ)
ショールカラーカーディガン
品 番|A0305ACHAGLASS/44971
生 地|ウール90%、カシミヤ10%
カラー|グレージュ(1405)
サイズ|44、46、48
価 格|108,900円(税込)
※タップ(クリック)で商品ページへ
暖かく、軽く、そして美しい。古き良き英国のロマンが息づく名品中の名品、ショールカラーカーディガン。今年はついに大台突破したとはいえ、昨年まで10万円以下で販売されていたとはとても信じられない商品だと言えます(材料費だけでも相当なものかと)。
いかがでしたでしょうか。さらに詳しく知りたい方は、マックジョージ商品販売の旗頭・ストラスブルゴのYouTubeチャンネルでも動画配信されていますので、是非ご覧になってみてください。
そろそろクローゼットの衣替えをお考えの方も多い時期。今秋冬のワードローブに本物の「ブリティッシュ・トラディショナル」を是非加えてください。記念クーポンも配布中につき、ご検討よろしくお願いいたします。
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