『い~や、誰が着たっていい!』Frame switchwearのニットフーディー

Frame switchwear(フレームスイッチウェア)

 「おじさんがパーカーを着るのはあるかなしか」 

 ラフでカジュアル、リラックスウェアの代表格として長年に渡り我々のデイリースタイルを支え続ける愛すべき存在・パーカー。大抵の方は「誰が何着たって構わないでしょ」と思われるでしょうが、フードが付いていると何となく子供っぽく見え、スウェット素材のものは着方によってはやや締まりのない印象を与えがちかもしれません。
 年齢とともに服装のキチンと度合いも上げていかないと不相応感・違和感を与えるリスクを抱える我々中年世代を含め、パーカー愛好家の方にもご提案したいのが今回の商品。性別不問・全世代対応型というちょっと不思議なスタンスを持つアイテムです。
 トレンド感も意識しながら、楽しく、かっこよく、上品に、パーカーをどう取り入れたら良いかを検証しつつ、ブランドの詳細も交えながらご紹介していきたいと思います。

「まずはブランドの事が早く知りたい!」という方は下のリンクからどうぞ。

↑公式ホームページへ

【Frame switchwear】FULL ZIP KNIT HOODIE

 「動物の毛皮」という意味をもつイヌイットの民族衣装“Parka”が語源のパーカー。日本ではフード付きのスウェットを指し、『フーディー(Hoodie/Hoody)』と呼ばれることもありますよね。
 先日より当店で販売を始めたのは日本のFrame switchwear(フレームスイッチウェア、以下「FS」。)というブランドのフルジップニットフーディーです。

 「ニット」「ジェンダーレス」「ジップ付き」「手頃な値段」「トレンド感もあるオーバーサイズ」「シンプルなルックス」。そんなところに焦点を合わせて探していたところめぐりあったのがこの商品。「全ての商品がユニセックスでワンサイズ」というコンセプトはかなり冒険的なアプローチに感じ、興味を惹かれました。そんなFSの商品が男女問わず10代~60代までの幅広いお客様層に支持されるポイントはどこにあるのか探ってみたいと思います。

ニットという「フレーム」の力 

 “絵画を彩るフレーム(額縁)のように、着る人を引き立てる服作り”が身上のこのブランド。そもそもニットウェアは大人っぽく見せることができる最も身近なファッションフレームの一つであり、カットソー等に使われる織物生地に比べ、艶やかな光沢やドレープ感が上品さや高級感を漂わせる見た目になりやすいのがニット生地です。
 ニットジャケットをご存じかと思いますが、これは一般的なジャケット生地(織地)をニット(編地)に変えることでジャケットのフォーマルでカッチリした印象を、品を損なわずにほんのり「カジュアルダウン化」させたもの。対してこのニットフーディーはニットにすることで、カジュアルさは残しつつ上品さや大人っぽい雰囲気を持つアイテムにブラッシュアップさせています。

ポリエステルvsウールvsスウェット

 コチラの商品はポリエステル100%のニット。一般的なウール素材のニットと比較すれば前述の高級感や上品さはやや劣るものの、高耐久性や防水性はこちらに軍配。型崩れ・シワ・縮み・色落ちにも強いため(ウールに比べ)家庭でのケアが容易で、スウェットより乾きやすい所もデイリーウェアとして有能です。スポーティなスタイルとも相性の良さを発揮しています。

ニットウェアとしてのパーカー

 ウールニットのパーカーも素敵なのですが、着るときにちょっと気構えてしまうという方もいらっしゃるかも。気構えずに肩の力を抜いて、ラフに楽しくゆったりと着て頂きたい”というブランドの想いがポリエステルニット採用の要因の一つかもしれません。サラっとした肌触り、適度な通気性、程よい重量感は季節を問わず使いやすいニットのフーディー。価格を抑えるという点でも貢献できていると思います。

フード形状

 パーカーの最も特徴的なデザインと言えば勿論「フード」。通常は表と裏2枚の生地を縫い合わせて袋状になっているものが多く、縁に沿って締め紐を納めるためのスペースも縫い合わせてあるため首元にボリュームが出ます。それがアクセントになり、小顔効果も期待できるというのがパーカーの魅力といえば魅力です。とはいえ、重なり合った部分は生地4枚分のボリュームになるため、スッキリした着こなしには不向きかもしれません。
 ニットの柔軟でしなやかな特質が着用した際にも首から肩、背中にかけて体に沿うように収まり、フードが“浮く”ような印象を与えません。やや肉薄の生地質により、存在感や役割はそのままに「俺はパーカーだ!」的主張を抑える効果をもたらしてくれています。

コードレスフード 

 通常はフードの縁、首元の両側からフードの締め紐が下がっているのが一般的。この商品のフードには紐がありません。実際にフードを被って顎下で紐を締めて使う人はほぼ皆無だと思われるため、実用的用途を無視できるのならば紐が垂れ下がっていない方がスッキリしますよね。私も私物のパーカーは紐を外してしまっているものもあります。

 フードとドローコードというパーカーっぽい要素を薄め、カジュアル感を押さえることで「フード付きのジップアップニット」的イメージを強めて、着る人を限定しないよう着用対象をワイドレンジ化する工夫がなされされているのがポイントです。

シンプルデザインと主張しない「コダワリ」

 ミリタリー、ワーク、ヴィンテージなどの要素を取り入れたデザインで、古着のような野暮ったさやアクティブなデザインを好まれるお客様が多いのもこのブランドの特徴。このニットフーディーに関してはそういったデザイン要素をあまり押し出さない、それでいてストリート系のようなアクティブさも持ち合わせたシンプルな見た目。ロゴ等の装飾も控えめで、全体的にゴテゴテした派手なデザインのものや、反対にキレイ目過ぎるパーカーに少し抵抗があった方にもおススメしたいところ。

 袖口部分のデザイニング、安心と信頼のYKK製ビスロン(樹脂)ファスナー、ダブルジップ仕様、胸元と袖のさり気ないロゴ刺繍とどなたでも着用しやすいのに、主張はしすぎない設計にもかかわらず、オリジナリティや隙のないディテールを随所に散りばめているあたりも「服づくりへの拘り」や「ファッションが好き」という思いが強く、服が好きな方に向けてデザインと着心地を兼ね備えたオリジナルブランド”らしさがしっかり出ていますよね。

サイズスペックの詳細

 ユニセックスでワンサイズ。一体どんなサイズ感なのか。以下の4つの数値の組み合わせがもたらすものに迫ります。

|着丈70cm|肩幅56cm|身幅63cm|袖丈57cm|
(メーカー公表値)
  • 着丈(70cm)⇒ニットウェア基準なら少し長め、男性用ならL~LLサイズあたりに相当。パーカーもしくはショート丈アウターとして見るなら標準~若干長め。
  • 肩幅(56cm)⇒男性用標準的Mサイズのニットが40cm程度とすると比較的大きい。大抵の方は肩が落ちたシルエットになる。
  • 身幅(63cm)⇒メンズ製品ならかなりゆとりを持たせた数値だが、女性用として考えればそこまででもない。ほぼボックスシルエットなため裾回りにも余裕がある。
  • 袖丈(57cm)⇒肩幅数値が大きい分袖丈自体は短め。裄丈としては90cm程度と極端ではなく、女性の方が袖部分を「クシュっと」させるのには良さげ。

 着丈と袖丈は男性が着てもビックシルエットになり過ぎない数値に設定されているようです。肩幅・身幅はゆとりを持ったフィッティングやオーバーサイズアイテムを好まれる方なら問題なさそうな数値と思います。女性でメンズサイズをよく取り入れていらっしゃる方なら問題ない範囲に収まっているはずです。極端な言い方ですが「小さすぎて着られない」ということがまず起こり得ないサイズ設定です。
 『ゆとりやリラックス感を持たせたサイズ設計のメンズ向けであり、メンズアイテムをオーバーサイズ的に取り入れる方が好むレディース向けでもある』と結論付けてよいのではないかと思います。これが“パートナーと一緒に着たいという方やボーイッシュな服装が好きな女性”にも最適の「サイズ選びの悩み無用」なFS流のフリーサイズ(ブランドによる表記は“YOUサイズ”)のサイズ感です。

参考:ユニクロ製品との比較
 ちょっと反則ですが、数値だけの比較ならユニクロの定番・スウェットフルジップパーカ(MENS)だとL~XL、スウェットオーバーサイズプルパーカ(ジップなし、MENS)だとM~Lが近似のサイズ。実際に試した感じが近いかどうかは分かりませんのでご了承ください。
 ちなみに、ユニクロの商品でニットのパーカーというと、ケーブル編みでプルオーバータイプのもの(WOMEN)に限られます(2025年11月現在)。

ここまでのまとめ
ポイント
  • ニットによる上品さとスポーティさの調和・機能的優位性
  • どなたでも取り入れやすく様になりやすいシンプルデザイン
  • オーバーサイズ派納得の着こなしやすくシェアしやすいサイズ感
  • カジュアル過ぎを防ぐフードの仕様
  • 超ワイドレンジなユニセックス対応“YOUサイズ”の適応力
  • オリジナリティにもディテールにも拘った仕上げ

 例えトレンドだとしてもオーバーサイズは嗜好が分かれる所でもありますが、パーカーとしてもニットウェアとしてもなかなか新鮮な「性別不問・全世代対応型」フルジップタイプのニットフーディーです。

試着しての感想とコーディネートについて

 さて、ここからがある意味本番。小柄でおじさんな私が着てどんな感じになるのか?結構不安はありましたが、試着レポートとコーディネートのご提案を。

試着

 中に次回ご紹介予定のジップアップニット(ALPHA)を着用。ボトムス・シューズ共に黒系にし、スリムタイプのデニムとスエードブーツを選び、上半身のボリュームを意識して下半身の引き締めと足長効果を狙ってみました。『悪くないだろう』とあの芸人さんなら言ってくれそうでしょうか。 

 当然着心地はゆったり、中に薄手のダウンくらいならいけそうな余裕はあります。肩は7~8cm程落ちる感じで、ヒップがギリギリ隠れるくらいの着丈でした。袖にはそこそこクッションが入りますが、袖口に向かってかなりテーパードが効いているデザインなので結構こなれた感じにはなりやすのかと思います。フードがインナー(ハイネック)の襟高よりも上に出ないところは、比較的ドレッシーなパーカーに区分してよいのかと。見ようによってはワンピースカラーのシャツ襟っぽく見える所も特に(大人の方に)おススメできる箇所です。
 フロント開放でアウター的に使うなら「大人の余裕感」が演出できそう。敢えてあのサイズ感にしているんだな、と思わせられるかが肝。インナーにするニットやカットソーの丈感を合わせるか、ビックT等を選べばより整合感のあるスタイリングに仕上げることができると思います。
 ちなみにですが、もうハーフサイズ程度大きかったらダブッとしてダルな見た目になりそうな予感もしましたので、数えきれないほどの試作による試行錯誤の末にギリギリを攻めた結果こうなったのではないでしょうか。 

 ということで実際に試着してみて、小柄な私でも「いけそう」なイメージは持てたので、ワンサイズでも男女兼用というサイズ感を上手く実現できていると感じましたし、これならオーバーサイズ未挑戦者のトライアル的にもうってつけなのではと思いました。

コーディネート

 ほんのりした光沢があり、クシャっとしたヨレ・シワ感が出ないのこのフーディなら、どなたでも大人っぽく上品な見た目を演出しやすいと思います。
 上の写真に続けるのも気が引けるのですが、メーカーから転載許可をいただいているプロショットも確認してみましょう。

 黒のワイドテーパードパンツ(同ブランドのイージーカーゴパンツ)と黒スニーカーで下半身を引き締めつつ、アンクル丈から白靴下を覗かせて抜け&軽さを出すところは、今時な着こなしを意識した流石のお手本コーデです。フードの出しゃばり感も抑えられた、オーバーサイズながら全体的にスッキリした装いになっているかと。ファスナーの色使いも違和感がなく、コーディートを邪魔していません。かつ、縦のファスナーラインが見た目にシャープな印象を与えてくれています。このぐらいの身長の方ですと袖丈がほぼジャストになるのも見て取れます。

 素直にワイドパンツを合せるのも手ですが、(ワイド)テーパード系のボトムスが最も簡単に決まりやすいかと思います。トップスから足元に向けて緩やかなグラデーションを描く、どなたでもマネしやすくバランスの良いシルエットが出来上がります。私がやったようにスリムなボトムスでやり過ぎ感を防ぎメリハリを利かせる方が、大人の方には向いているかもしれません。反スポーティ派の方は「ワイドテーパード」「ウール」「スラックスタイプ」のボトムス選びがキレイ目で落ち着きのあるオーバーサイズスタイルの決め手になりそうです。

 いつも口癖のように言ってしまう「レザーのローファー」等のドレッシーなシューズはやや難易度が高いかもしれませんので、ここはやはりスニーカーが最適解になりそう。どんなタイプのスニーカーとあわせていただけるのもパーカーならではの楽しみ方。より品よく仕上げるならレザースニーカーやスエードのチャッカブーツ辺りがおススメ。色が黒で底が白いタイプのスニーカーなら、モデルさんがやっているような「白靴下覗かせ」と同じような効果も期待できます。パンツ丈に応じて上手く使い分けていただくのが良策かと思います。

モデル身長:178cm

 女性モデルの方もボトムスは同じ。スニーカーも白を選び、更に軽やかでスポーティな雰囲気に仕上げつつ、ふんわりと柔らかな着こなしに。裾下にオレンジのインナーを差し色的にレイヤードして、明るく華やかな印象も加えています。黒・グレー・白のモノトーンに一色加える小技は、持っていて損はない引き出しの一つかと思います。

商品ページのご案内・次回予告

 カラーも年齢性別問わない2色。軽さや抜け感が欲しい方はグレー、シックでまとまりやすさならネイビーです。

 “着ることでスイッチが入り、気持ちがワクワクするような”このニットフーディーのようなアイテム、皆さんはお持ちですか?

型番:FRM21AW-KN-002
生地:ポリエステル100%
カラー:ネイビー・グレー
サイズ:YOUサイズ(フリー)
価格:17,600円(税込)

 「レディースアイテムだけど、こんな感じの服がメンズでも有ったらいいな」
 「メンズの服は好きだけど、値段が高いものが多いし、サイズ感合わなかったりゴツくて重いんだよな」
 そんな想いがブランド起ち上げのきっかけともなったFS。私も「メンズだけど女性が着てもおかしくないかも」「SやXSサイズなら女性にもフィットしそう」といった視点を仕入れの指標の一つとしております。今後も要チェックのFSですが、ほんの少しダウンサイジングしたものがあると当店でも扱いやすいのかなーと(個人的な見解ですみません)思いました。

 ちょっと時を戻してみると、冒頭で「おじさんパーカー」問題に触れました。TPOに関する話は別として、ビシッと結論を出す前に是非フレームスイッチウェアのWEB STOREを覗いてみてください。「Frame」のフィルターを通したアイテム達が今までと少し違った考え方を呼び起こしてくれるかもしれません。


 ご紹介は以上となります。またも長編になってしまいましたが、最後までお付き合いいただきありがとうございました。
 そして次回はこちら

公開中

 『ジップニット対決』ということで、ニットフーディーの対抗馬にした、ALPHAのジップニットをご紹介します。お楽しみに。

X(旧Twitter):@teatrosogno

コメント