長い事音楽に親しんだ人間なら、ラジオ等で初めて耳にするバンドの新曲でもどこの国バンドなのか程度はおおよその見当がつくようになるものです。私もヨーロッパかアメリカかぐらいは一聴すればほぼ分かるものだと自負しておりました。が、先日Majestiesというバンドの楽曲が流れた時「ああ、スウェーデンあたりの北欧のバンドかな」と高をくくっていたら、なんとアメリカ産だと紹介されてクリビツテンギョウ。昨年出たLorna Shoreの時と同様、地域の特性が生み出すバンドカラーがこういった新勢力に塗り替えられつつあることを知る今日この頃。
これからご紹介するカットソーも予備知識が全くなければ、まさかあのKIREDの商品だとは誰も思わないのではないでしょうか。
というわけで、今日はKIREDの2023春夏新作をご紹介いたします。
ほとんど商品の情報がないなか、検品中にふと目についたタグの文言。これはと思い辞書を探したのですが、学生時代に使っていたLIGHTHOUSEの真っ赤な辞書がどこにもない。そんなわけで、手抜きをしてグーグルの翻訳機能を使い、各単語の意味だけは調べて訳してみたのがこちら。
ニットウェアの世界において、KIREDの Exclusive supima crêpe cotton(エクスクルーシブスーピマクレープコットン)は最高レベルな研究・実験の代名詞です。経(縦)糸と緯(横)糸を逆撚りにすることで“ちりめん効果(crepe effect)”が現れ、波打ったような風合いの生地になります。この生地は研究上の重要な段階において生まれたものであり、職人技で仕上げられた極上糸を採用することで、商品に軽やかさや現代的なルックス、耐久性能までをも与えています。
余談ですが、個人的には翻訳機能は全くあてにならないと思っていたのですが、いやはやどうして、試験でもほぼ満点が取れそうな精度にビックリしました。誤訳の箇所があるかもしれませんが、これが今回の商品に使われている“スーピマクレープコットン”の正体です。
スーピマクレープコットンの半袖クルーネックカットソーと長袖バンドカラーポロシャツ。KIREDの新作はアウターだけじゃあありません。
まずはそのスーピマクレープコットンについて細かく見ていきましょう。
夏用のアイテム、特にニットやカットソーに“クレープ”と謳った商品をよく目にします。クレープ(コットンクレープ)と言えばステテコや夏用のパジャマ等によく使われていた特殊な生地で、名前の通りちりめんのような、表面にシボ・凹凸があって肌離れがよく、サラリとした着心地が特徴なのはご存じかと思います。シアサッカーに近いイメージをお持ちの方も多いかもしれません。そういった効果をタグに記載のとおり「経糸・緯糸を逆撚り」して与えられた素材ということになります。ちなみにおじ(い)さん世代にはおなじみのステテコですが、ズボン下として真夏に履くことで「履いていないより涼しい」と言わしめる、近年再ブレークしつつあるアイテム。慣れると一年通して脱げなくなるという「元祖機能性商品」なのですが、もしかしてそんなカットソーなの?と正直思ってしまいました。
実際は、滑らかで光沢のある生地質でサラッとドライな感触。やや薄手で軽く、ジャージーのような伸縮性(ポリエステル8%混)が特徴になっています。超ハイゲージのニットに近い印象…というかそれに近い感覚の商品なのかなと思います。
スーピマコットンと言えば世界3大綿の一つ。繊維長が35㎜以上の最高グレードコットンです。それだけで最高の着心地が約束される素材なんですが、それにポリエステルを8%混紡。ストレッチという言葉が生ぬるいほどの伸縮性が備わっています。
ここまでのところを簡単にまとめてみますと、
・スーピマコットンのしなやかな素材感と美しい光沢
・クレープ効果によるサラリとドライな肌触り
・化繊混紡でジャージーのようなの伸縮性
・夏場の着用に適した機能性、高耐久性
・薄手で軽いのに高級感のある表情
という特徴を持つのがスーピマクレープコットンです。では実際の商品をご紹介します。
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