ちょっとゆるいローファー、お持ちですか?
大人の男性や女子高生の足元を華麗に彩るローファーですが、フィッティングは他の靴と違って一癖も二癖もあるのが難です。当店でもことあるごとにローファー、ローファーとおススメしてしまうので、今回はそのローファーのフィッティングに関するお話を。
「痛いのは嫌」「紐で調節できるから」「大は小を兼ねるって言うし」がいざ(紐靴ではない)ローファーのサイズを選ぶ際にも頭をよぎり、ややゆるめのサイズを選んでしまった…という経験をお持ちの方もいらっしゃるかも。私もローファー選びは失敗続きで、サイトで調べては様々なグッズを試してきました。ネットにはその手の「お助け情報」が本当に数多く存在し、実際にお困りの方が多く存在しているのが伺えます。値段もそれなりにし、簡単に処分したり売り払ったりするのも難しいため、少しでも心地よく履けるようにできたらありがたいですよね。
ここでは小難しいシューフィッティングに関する話は抜きに(私もそこまで詳しくありませんので)、簡単に試せる脱げやすいローファーの改善策をいくつかご紹介しようと思います。効果は人によってマチマチだと思いますので、あくまで『お試し』『応急処置』の範疇でご参考にしていただけたらと思います(くれぐれも長時間の歩行にはご注意ください)。

グッズ毎の特徴と使用感
インソール(中敷き)
サイズ調整の定番的な方法。結論から言って、フルサイズのものよりハーフサイズ(つま先側)がおすすめ。甲部分のフィッティングを高め、つま先側が詰まってかかともわずかに後ろに押される感覚を得られる。フルサイズのものだと足全体の位置が持ち上がってしまうため、余計かかとが抜けやすくなる場合があり、靴本来の履き心地も大分変ってしまうためあまりお勧めしない。脱いだ時にブランド刻印などの情報が隠れてしまうのも残念なポイント。
素材や厚み等様々なものが販売されており、まずは値段の安い商品で試してみるのも良い。個人的には靴用グッズメーカーの本革製のものが一番しっくりくる感じで、吸湿や防臭、滑り止め等インソール本来の機能も活かしつつ足馴染みも良かった印象。粘着テープなどで貼り付けなければ簡単に取り外しできるのも色々試してみたい方には良い点。
かかとのすべり止め(パッド型)
かかとのフィッティングをダイレクトに調節できるため、最も即効性がありそうだと感じる人が多いはず。どれにすれば良いのか考えてしまう程、様々な種類の商品がある。基本的には粘着テープで直接張り付けて使うため、装着にはやや注意が必要。
タイプ毎の特徴は以下のとおり。
・革製
牛革製等、やや起毛感のあるスエードっぽい材質もの。サイズの微調整的には最も効果が高いと思われ(カラーバリエーションにより)靴本来の見た目をほぼ損なわなずに使える。適度な滑り止め効果で「かかとがついてくる」感じになりやすい。履く靴下との相性で滑りやすさも若干変化する。当然だが値段が張るものが多い(本革の場合)。
・クッションパッド
恐らく一番バリエーション多いタイプ。履いた時のかかとのホールド感はかなり改善される反面、実際に歩行すると素材的に意外と滑って脱げやすいものもあったりする。最近のものは素材や形状でこの点がかなり改善されており、値段自体も比較的安価なため、材質や厚み、形状の違うものをいくつか試してみるのが良いと思われる。
・シリコン(ラバー)
大ぶりな物が多く、材質的にグリップ力は最も強い。靴下を履いていてもかなりの滑り止め効果があるため、ワンサイズ程度大きいもの用の調整には適している。ただ長時間歩行すると(かかとの)皮がめくれてくることもあり注意が必要な場合も。最大のネックはフィット感を高めれば高める程、靴ベラが全く滑らず抜けなくなってしまう点。色も半透明のモノが多くちょっぴり残念な見た目になることも。
つま先用クッション
女性のヒールやパンプス用が多いが、男性用の靴に使えるものもある。純粋につま先部分のスペースを埋めるため、足位置を後ろに下げてかかとの密着度を高める効果があるグッズ。100均等でも売られていることが多く、安価に手に入れやすい。足へのダメージは少ないが、意外と効果を実感できる場合も。かかと用のすべり止め・パッドと違いかかと部分の形状に変化を与えないので、元々ヒールカップが大きすぎる場合にはあまり効果を期待できないかも。それでも脱げにくくなる効果は一定量期待でき、着脱も容易なところが利点。
厚手のソックス
靴自体には一切手を加えず、効果が無くても「買い損」感があまりないのがこちら。ロングソックスなら(冬用の)厚手の商品はラインナップも豊富で、普通に手持ちの靴下を増やす感覚で選べるところが調整グッズとの最大の違い。言うまでもなく防寒に特化した商品だと折角のコーディネートをガチャガチャにしてしまいかねないためご注意を。
ショートソックス(カバーソックス)は種類がかなり限定される。ユニクロにもあるようなパイル地(裏パイル)のモノがかなりおススメで、靴と足の密着度がかなり高まる。加えて、是非お試しいただきたいのが五本指のショートソックス。指先部分の体積が増えるため、指先の幅が若干広くなり、甲幅にゆとりがある場合には効果が期待できる結構レアな商品。ウィズ(WIDTH)の小さ目の靴の場合にはあまり適さないが、靴内や足のコンディションを保つのにも優れた商品なので、見つけたら一度はお試しいただきたいソックス。ただ値段もそれなりにする。
タンパッド
甲の部分の内側に貼る調整用パッド。ローファーのフィッティングでもかなり重要な要素である甲のフィット感を増すことで、靴自体の脱げにくさもかなり向上する。当然甲部分に余裕がない場合には向かず“履きジワ”の程度により歩いているうちに(足の甲に)痛みが生じる可能性も。サイズはピッタリなのに何故か脱げやすいという方はこれ一発で改善することもある。値段はそれなり。
まとめとおススメ
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どれが良いですとは一概には言い切れないものの、値段と(ネット等で買える)種類の豊富さから行くと「クッションタイプのかかとパッド」が最も手軽で試しやすい方法だと思います。ただ粘着テープで固定した後にパッドをはがすと粘着跡が残ってしまい、靴にダメージを与える場合もありますのでくれぐれもお気を付けください。
個人的なおススメは靴用グッズメーカーが販売している「ハーフインソール」と「革製かかとパッド」。単独もしくは2つを上手く組み合わせて使うことで、足当りもソフトにしつつ極端な履き心地の変化を避けた調節ができると思います。
やり方としては
着脱の容易なハーフインソールでつま先や甲のフィット感を確認
↓
かかとの抜けやすさ次第によってすべり止めパッドで調整
↓
日中の足の大きさの変化や歩行によりきつさを感じてきたらインソールを外す
といったイメージです。
少し値段がしますが、インソールなら他の靴にも転用できるので敷居は低く、場合によってはインソールをつま先用クッションやタンパッドに置き換えてみることも可能。靴を脱いだ時の「見た目の違和感」も最小限にできると思います。
以上、自分自身の体験・経験を元にした超個人的な見解をご紹介しました。
元々かかとが脱げやすい造りのローファー。ショップで購入する場合は、店員さんやシューフィッターのアドバイスを基に、木型や製法も含め(ソールの沈み込み等)“靴が育つ”ことも想定したサイズ選びを心掛けたいですね。私も痛くて歩けなくなったことを思い出しながら痛感しています。


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