「デニム以上、スラックス未満。」

SO(エスオー)

昨年末『夫婦以上、恋人未満。』というタイトルのTⅤアニメが放映されていました。とある高校で「ランダムでペアリングされた男女の生徒が、仮の夫婦として共同生活をする実習」を行うという、どこぞの教育委員会が聞いたら腰を抜かしそうな設定で繰り広げられるラブコメディー。ややお色気表現が多めでしたが、中身は正統派の純愛ストーリー。「たまたまペアになった自分とは真逆なタイプのギャル」と「昔から思いを寄せる幼馴染」。自分にとって本当に大切な存在なのはどちらなのか。コメディ表現もセンスがよく、カラフルポップなOP曲から一転してEDにはアダルトコンテンポラリーな楽曲を持ってくる全体的な流れも含め、とても秀逸な作品だったと思います。一般的な表現の「恋人以上、夫婦未満」をテレコにしたタイトルも、作品の内容を上手く表現していました。

というわけで、当店の「デニム以上、スラックス未満。」なこちらをご紹介します。

SO:デニムスラックス(画像クリックで商品ページへ)

SOって何?という方はブランド紹介「SO」のページを是非ご覧ください。しつこいようですが、ジョジョ6部とは無関係です。

「デニムだけどスラックスっぽいよね」ではなく「スラックスだけどデニム生地なんだ」が正解だと思います。ショップサイトで「いつものデニムをこれに変えるだけで…」的な事も書きましたが、厳密に言うと趣が大分異なります。要は “クラシックなスラックスにより近いデニスラ” なんです。

デニムとスラックスのいいとこ取り、とよく言われるこの商品。ではその詳細をお伝えしていきます。

SOでは一つの生地に対して7種類のパターン(フィティング、プリーツやダーツの有無等)を選べるようになっています。生地ごとに色数×7通りの組み合わせが存在することになり、通常ですと一つのパターンに決め打ちしてオーダーをするのでしょうが、当店は悩みに悩みぬいて2種類の生地で3つのパターンをオーダーしました。扱いブランドも少ないので時間もありましたし。で、こちらに関してはデニスラにはあまり見られない「ダーツ入り」をチョイス。スリムタイプにはダーツ入りがなかったのでフィティングは「クラシックフィット」になります。オーダー初心者の私は、まずモデルを選んでそれから生地と色を決める、ものだとばかり思っていたのでちょっと面くらいましたが、このあたりも「仕立て屋さん(sartorial)」ぽいですよね。

まずはその「ダーツ」。

プリーツとダーツ

2つのベルトループ下とその間に縦に3本ラインが入っているのがわかると思います。写真左側(パンツ中央寄り)がアウトプリーツ、真ん中がダーツ、右側(腰側)がサイドポケット。ダーツは生地を余分にとって折り返して縫い合わせてしまう仕様ですから、ゆとりを生み、シルエットをより立体的にする効果があると言われます。プリーツのように開かないので、微調整的な意味合いで取り入れられることが多いようです。シャツの背面やこの商品も含めたパンツの腰部分にもよく入っています。

2プリーツのパンツも最近よく販売されていますが、履き心地云々より見た目がやや独特なので、あれを自分のスタイルに取り入れるのは中々ハードルが高いと思われている方も多いのでは。フィティングとフォルムにこだわるSOは2プリーツの一つをダーツに置き換え、1プリーツ以上2プリーツ未満な見た目と履き心地を実現しました。

画像で着用しているのは42サイズ。ウエスト77㎝の私ですとウエストはベルトなしで大丈夫なほどジャスト。ですが腰回りからヒップ、わたりにかけてのゆとり感が本当に楽で、単純に「ゆるい」というより、座ったり・歩いたりする動作の自由度が非常に高いという感覚。ですが、ご覧の通りきれいにテーパードしたシルエットと細目の裾幅が美しく、そういう面からもスラックス要素を多分に含んだ出来だと思います。巷を跋扈するラクチンパンツは私も大好きですが、パターンメイクとディテールによって、綿100%のパンツでここまでの着用感を実現したのはSO、そして尾作氏だから成せる技だということなのでしょう。

寸法計測を行った際少し気になったのは裾幅。股下75㎝位置の裾幅が3つのサイズでほとんど差がなかったので何度か測り直したのですが、結果的にやっぱりサイズ表通りの数値になりました。当店扱いの42~46サイズに関しては、股下72~3㎝辺りからテーパードが止まり、ほぼストレート。画像では股下70㎝程のところで折り返しています。私の様な70㎝以下に股下をセッティングする方以外は、サイズでシルエットが大幅に崩れることはなさそうです。ヒップ~わたりにかけてのフィット感でサイズを選んでいただき、ウエストはサイズ直し等で自分に合わせるとベストかなと思います。スラックス仕立てなので、そんな風にパンツを自分に合わせてあげて履くのもまた楽しいですし、愛着も沸きますよね。デニムですのでやらないという方が多いのかなとは思いますが。

クラシックフィットですが裾幅も細目

そしてブラックデニムであること。その有用性。

私も毎年デニスラはチェックしますが、黒は何故か少ないと感じます。色味もワンウォッシュ系のブラックですので、インディゴ系よりシックに決められますし、シャープで締まったルックスがクール。お手持ちのアイテムでのコーディネートの幅が確実に拡がります。この色感は本当に不思議なほど合わせる色を選ばないんです。よくあるブラックデニムでは中々出せない上品さと、スラックスが本来が持っている機能性・紳士服然とした面持ちが、履くたびに喜びを味合わせてくれるパンツです。我々が持っている「ジーンズ/Gパン」というカテゴリーイメージとは根本的に違うんですよね。でもデニム特有の生地感が生み出す表情がデニムファンも満足させてくれます。
商品ページで靴の合わせにレザーのローファーをおすすめしましたが、裾幅が細すぎないので、股下を少し短めに設定して普段のスニーカーを合わせるのもこれからの季節には軽快。普通のデニムにスニーカーはややカジュアルすぎるきらいがあるので個人的にはなるべく避けているのですが、スラックスにより近い本商品ならカジュアルダウンし過ぎず、ここが「使えるヤツ」たる所以です。スニーカーにも革靴にも合わせられるパンツのコスパの良さは、すでに皆さんご承知のとおりだと思います。

上:crucianiスティールグレー(左)ライトブルー(右)

8オンス生地ということでライトオンスの部類に入りますが、着用してみた感じは春夏専用という印象はありませんでした。デニム生地独特の重量感のようなものはしっかり感じられますので、春夏モデル以上、秋冬モデル未満な3シーズンモデルという認識でよろしいかと思います。「真夏はどうなの?」に関しては追ってレポートします。

トップス:Cruciani

とにかく使いやすい、ワンウォッシュブラックのデニムスラックス。
冒頭に出てきた『恋人以上、夫婦未満。』を観て「ギャルものにはハズレが少ない」と格言めいたことを思ったのですが、この商品もハズしません。SOの実力、この機会に是非ご確認ください。

Twitter:@teatrosogno

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